本の履歴 2002年3月

 ・「魔術師オーフェンはぐれ旅 我が館にさまよえ虚像」 秋田禎信 <3/25> (B+)
 ・「無理は承知で私立探偵(3) 運がよければ事件解決(ザッツ・オーライ)」 麻生俊平<3/23> (
B+)再読 シリーズ完結? おすすめ!
 ・「無理は承知で私立探偵(2) でたとこ勝負の探偵稼業(マイ・ビジネス)」 麻生俊平<3/23>(
B+)再読  おすすめ!
 ・「無理は承知で私立探偵(ハードボイルド)」 麻生俊平 <3/19> (
B)再読
 ・「E.G.コンバット3rd」 秋山瑞人 (
A)再読  おすすめ!
 ・「E.G.コンバット2nd」 秋山瑞人 (
A)再読  おすすめ!
 ・「E.G.コンバット」 秋山瑞人 (
B+)再読  おすすめ!
 ・「ラグナロクEX. SANCTUARY」 安井健太郎 <3/4> (
B)
 ・「死にぞこないの青」 乙一 <3/3> (
B+)再読

 

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「魔術師オーフェン 我が館にさまよえ虚像」 秋田禎信 (B+)
富士見ファンタジア文庫  イラスト/草河遊也  <3/25>  02年3月発売
オンライン書店  [bk1] [amazon] 
 ティッシが死んだ。オーフェンはそのことを信じられないでいた。ダミアンは信用できない。領主はなにかうさんくさい。
 いなくなっていた「クリーオウ」と「マジク」は領主の傍にいた。クリーオウは領主と取引をすると言い、マジクは領主を師事すると言う。二人が白魔術に操られていると思い込むオーフェンだったが、二人は操られてなどいなかった。コルゴン、領主、ダミアン、ティッシ、そしてアザリー彼らの目的はなんなのか? 聖域は全力をもってなにを潰そうとしているのか?

 「俺になにがあると思った? 魔術の強さでいえば、フォルテにもティッシにも及ばない。精度では、コルゴンに勝てるかどうか自信はないな。生物的な限界をいえば、そうだな、逆立ちしたところでレキに勝てるわけはないな。ダミアン・ルーウは大陸でも最も優れた魔術士のひとりだろう。殴り合いの技術なら、ウィノナだってたいしたもんだ。剣ならロッテーシャに習うか? さて、俺になにがある?」(オーフェン)

 「餞(はなむけ)としちゃ、たいしたことは言えないけどな。いいか、お前は行く――だが、いつもどってきてもいい。分かったか?」(オーフェン)


 もう最終巻かな(?)と思っていたら、もう少し続くようですね(20〜21巻くらいで終わりかな)。といっても、二部が終わると書いてあるだけなのでオーフェンが終わるとは限りませんが(富士見は続けさせようとする気がする)。

 あらすじで、どうなるのか? って書きましたけど、結局まだ肝心なことはわかりませんでしたね(それぞれのキャラがなにを目的にしているのか、この巻を読み終わってもわかりません)。
 それにしても、ロッテーシャがあんなことになるとは予想外でした。かなり重要なキャラになってきましたね。フォルテに関してはまったく触れられていませんでしたが、まさかあれで終わりということはないですよね? いやフォルテならありえるのかも(笑)

 この世界では白魔術士が恐ろしく強いですね(黒魔術士なんか目じゃない)。そのわりには、この巻のダミアンのしょぼさはどうなんでしょうね。
 まあ、こうでもしないと勝ち目がないんでしょうけど。

 話がオーフェンの主観で書かれているせいなのか、マジクの行動がどうも理解できません。助けられたからって、あの領主に師事するなんてこと考えるかなあ。それに対するオーフェンの餞の言葉はかっこよかったですね〜。でもこんな言葉をオーフェンが言ったということで、終わりが近いんだなあと思いました。それと、クリーオウもあんなにライアンのことを気にしていたとは思いませんでした。
 次回はついに家族が3人そろうのでしょうか。あと私はアザリーが元の肉体に戻ることはないと思いますが、みなさんはどうでしょう?

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「無理は承知で私立探偵(3) 運がよければ事件解決(ザッツ・オーライ)」 麻生俊平 (B+再読
角川スニーカー文庫  イラスト/中北晃二  <3/23>  01年5月発売
オンライン書店  [bk1] [amazon] 
 学園祭の準備をしていた七篠高校に突然”怪盗”からの犯行予告が掲示板に張り出されていた。
 そこには文化祭中に<クレオパトラの涙>を頂戴すると書いてある。生徒達は盛り上がっていた。なにしろこの高校には探偵がいるのだから!
 周りの生徒たちが、探偵VS怪盗による盛り上がりとは裏腹にあまり乗り気ではない山田君であったが、校長からの依頼もあり受けてたつことになるが――

 「息苦しく淀んだ世の中を吹き抜ける自由の風、それがこのボク、怪盗<蒼い風>さ」(蒼い風)

 私はこの三巻が一番好きですね。この巻では太一郎がとても探偵っぽいです(笑)。ちゃんと推理してるし。
 三巻では今までと違って一本の長編ストーリーになってます。この巻は笑えるシーンがとても多いですね。
 最後の方で怪盗が探偵と成田美樹のそれぞれの一番大切なものをいただくと予告するのですが、自分の身は自分で守れると豪語する探偵が、美樹を心配して探偵を一時休業して守ろうとします。そのとき美樹に「山田君の一番大切なものは?」と聞かれたときの答えとか、美樹が太一郎が読んでいた漫画の決めポーズをしたりするところなんかは最高でした(美樹は風紀委員の鬼でこんなことをするキャラではない)。
 怪盗もいい味出しているし、期待を裏切らないおもしろさでした。

 怪盗が犯行予告に書いた<クレオパトラの涙>というのは、今人気の漫画家の高校時代の漫画のことです。
 この漫画家は現在”フェアリー・パーティ”というすごく売れている漫画を描いています。
 太一郎がこの本のことを詳しく知るために、古本屋のセンセイという人に尋ねに行きます(このセンセイはゲームや漫画にすごく詳しい)。

 このセンセイが売れる漫画の講釈のようなことをするのですが、これがすごい説得力があるんですよね。ちょっと簡単に書きますね。
 この”ファミリー・パーティ”はラブコメです。定番としては一人の男の主人公に対して、周りの女の子達はみんな主人公が好き、女の子は小出しで少しずつ増えていく(おそらくは「ラブひな」がこれにあたると思います)。今のラブコメは金持ちのライバルなどの読者にストレスを与える存在は絶滅に向かいつつある。そしてこの”フェアリー・パーティ”では読者の最後のストレスである”男の主人公”を排除している(主人公が最後にヒロイン結ばれるのことすら許さない)。でもそうすると、ラブコメの要素が出ないのだが、女の子達は恋に憧れるという設定にし、ヒロインの誰もが、恋に対する憧れを抱き続けている。運命の出会いを、遠い約束の果たされる時を、待ち続ける。具体的な対象の描写を注意深く避けながらも、マンガは少女たちの心を細かく追っている。その思いが向けられるのが自分だったらと読者に想像させている。さらに頑なに恋愛を拒否しようとするキャラクターなども配置し、多様なニーズにこたえる配慮もある。舞台を中世ヨーロッパ風や中華風などにし、そのつどコスチュームを変える(最新刊の舞台はは、人里離れた怪しい館でその狙いは、ヒロインたちにメイドの格好させるためらしい)。ヒロインたちの相互交流をきちんと押さえることで、女性ファンも多く獲得している。ギャルゲー(恋愛シュミレーションゲーム)まがいのマンガであるが、男を出さずにラブコメの雰囲気を出しているのがすごい。
 とこんな感じで解説してくれるのですが、こんな本があったら一度読んでみたいですね(笑)。

 麻生さんは私の好きな作家の一人なのですが、最近はドラゴンマガジンで「美少女メモリアル紀行」なんてすでに名前の時点でつまらなそうなのを書かされています(企画物でした。ちなみに美少女八人くらい登場のはずが、四人くらいで打ち切り)。
 この小説の売れっ子漫画家が「自分が本当に書きたい作品は読者にうけない」と言っているのですが、それは麻生さんの現状なのかなと思ってしまいます。
 やっぱり麻生さんには「ザンヤルマ剣士」ような重厚なストーリーの小説を書いてほしいです。もちろんこの探偵シリーズの続巻も期待したいですね。新シリーズの発掘部の一巻は麻生作品にしては……でしたからね。そちらは二巻での巻き返しを期待したいところ。

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「無理は承知で私立探偵(2) でたとこ勝負の探偵稼業(マイ・ビジネス)」 麻生俊平 (B+再読
角川スニーカー文庫  イラスト/中北晃二  <3/23>  00年10月発売
オンライン書店  [bk1] [amazon] 
 太一郎に今日も依頼人が来ていた。依頼内容は「成田美樹のことを好きになってしまったのでもっと彼女のことを知りたい」という一年生の”女生徒”からである。さらに女生徒は「パスケースに入れられた男の写真が誰か知りたいので調べてほしい」と続けて頼む。「あの風紀委員長の美樹に男の影があるのか!?」と動揺を隠せない太一郎だったが、現代の騎士としてその依頼を受けることになるが――
 この『謎の写真と”太一っちゃん”』他二編収録。

 「写真のことを知りたいのは、自称”私立探偵”なの? それとも――」
 「それとも、二年B組、山田太一郎くんなの? 答えたら見せてあげる」(成田美樹)


 この巻も三本立てです。
 一つ目は校長に体育祭を中止するようにという脅迫文が来たので、誰が出したのか調べてほしいという依頼(この校長も変な人。探偵をおもしろがっている節があります)。
 この話はそこそこのおもしろさでした。体育祭が絡んでいるので、秘書の由里奈や美樹と二人三脚するエピソードはおもしろかったです。事件の真相はちょっと弱かったですね(特に○○○○○○○がそれをするにはリスクがありすぎる)。
 まあこの小説は真相部分は売りではないのでいいかな。

 二つ目は居酒屋で生演奏をしているバンドから、最近居酒屋の客が減ったのはどうしてか調べてほしいとの依頼。この話には保健室の先生が出てくるのですが、これがいい味出してます。この小説は脇役がかなり光っていますね。そして、真相は現実で起きそうなことでした。それを太一郎はどうやってバンドの人達に伝えるのか。探偵のダサさと、それを超越したかっこよさがよかったです。

 三つ目は上に書いたあらすじの話。私はこの巻で一番おもしろかったです。美樹と太一郎は幼馴染で、美樹の母親から「太一っちゃん」と呼ばれています。
 この話では太一郎が動揺っしぱなしで、それがおもしろいですね(依頼人の調べてほしい美樹のこと・・・・・好きな食べ物や趣味、誕生日などは太一郎はすでに知っていたのですが、パスケースの男の写真はまったく知らなかったわけです)。
 どうしても調べるチャンスがなかった太一郎は、最後の手段としてプールの授業中の女子更衣室に忍び込むことになるのですが・・・・・。

 太一郎と美樹もどかしい関係は、この小説の売りの一つでしょうね。近づくようで遠くなるところがおもしろい。やっぱり一巻よりもおもしろくなっていると思います。一巻に出てきたキャラクターが、うまい具合に登場するのも良かったですね。一巻が楽しめた人は買って損はないでしょう。

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「無理は承知で私立探偵(ハードボイルド)」 麻生俊平 (再読
角川スニーカー文庫  イラスト/中北晃二  <3/19>  00年4月発売
オンライン書店  [bk1] [amazon] 
 七篠高校には変な生徒が一人いた。その生徒は空き教室に事務机と携帯電話を持ち込んで事務所と言い張り、学生服の上からトレンチコートを羽織、ソフト帽をかぶった彼は自称”私立探偵”。そんな現代の騎士たる彼は、今日もあまりこない依頼人を事務所で待つ。
 「私は汚れた街を一人征く現代の騎士――。平たく言えば、私立探偵です」(山田太一郎)

 この小説はなんと言っても主人公の『山田太一郎』でしょう。タフでクールな私立探偵になりきった彼はおもしろいです。
 彼はまず本名を呼ばれるのを嫌います。生徒はもちろん先生からも探偵と呼ばれています(笑)
 彼は授業をさぼり空き教室にいつもいます。さらにおしかけ助手の女子生徒『小林由里奈』までいたりします。
 なによりいつもトレンチコーチを着ているのが特徴です(ルパン3世のぜにがた警部の格好)。
 彼は周りの人からは完全に変な人扱いされているのに、それでも無理やりハードボイルドっぽいしゃべりをするのがおもしろいんですよね。
 「ちょっと待ってくれ。時代遅れの流浪の騎士にも判るように状況を整理してもらいたいな。ここは映画の世界、レンズの向こうとこちら、スクリーンの表と裏、筋書きと演技、ただでさえ、現実と虚構の入り乱れた世界なんだから」
 「すげェ、マジであんなセリフが出るんだぜ」「しかも、アドリブよ」「ちょっとパターン」「恥ずかしがらずにあんなセリフが言えるなんて、信じられない」……。(映画部にて)
 こんな感じで(笑)。
 彼はこんなんなので、基本的にすごくかっこ悪いのですが、ときおり見せるかっこよさ(ダサさ)がいいんですよね。

 太一郎の天敵に幼馴染で風紀委員の『成田美樹』います。この娘は太一郎を気にかけていて、いつも授業に出させようとしていたりします。
 太一郎も美樹には頭が上がらず彼女の前ではびくびくしています。
 この小説では、この二人に助手の由里奈を加えた三人のラブコメのような要素も楽しめます(この巻より二巻、三巻の方がその要素は強くなりおもしろくなっていきます)。

 物語は三本立てになってます。探偵が出るといっても、密室殺人の謎を解くといった要素はまったくありません。依頼されるのは生徒からで、実際にあってもおかしくないような小さな事件です(陸上部のある人物が突然タイムが早くなったので、不正をしていないか調べてくれなど)。
 この小さな事件を探偵とその助手がどたばたと解決していきます。

 この巻はそこそこのおもしろさでしたが、次の巻からどんどんおもしろくなっていきますよ。巻が進むにつれて、同じイラストの人なのに絵がどんどん変わっていくのも見ものです。誰にでもすすめられる、お手軽に笑える小説だと思います。

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「E.G.コンバット3rd」 秋山瑞人(あきやま・みずひと) (A)再読
電撃文庫  イラスト/☆よしみる  99年7月発売
オンライン書店  [bk1] [amazon] 
 『カデナ・メイプルリーフ』は懲罰独房に入れられていた。その理由は「ルノア・キササギ教官の任務放棄幇助」。
 ルノアがルノア隊を助けに行こうとしたのを助力したことにたいする罰であった。
 『懲罰独房』、ここに留置された者の多くは、身体を壊すか、頭を壊すかして、刑期半ばにして受刑病棟に移される。言い渡された刑期を全うしたした者もいるが、最高記録は三日である……そして、カデナに言い渡されてた刑期は五日であった。
 最初は冷静だったカデナだったが、日にちが進むにつれて精神が壊れていった。「自分はここで生まれて、ここで死ぬんだ」「ルノア教官なんて、自分の妄想で、架空の英雄なのではないか」。そんな状態だったが、なんとか五日がたち、看守から刑期は終わったと告げられる。
 カデナは最初、その意味が理解できなかったが、次第に思考は正常になっていった。なんとか立ち上がり帰ろうと思ったその時、看守から殴りかかられる。よく見るとその人達は、ハキーム斥侯隊の者たちであった。彼女達は命令に逆らったカデナに制裁を加えに来たのだ。成すすべなく、やりたい放題に殴られるカデナは決意を固めた「最低でもひとりは道連れにしてやる」と。その時、派手な音がして懲罰独房の並んでいる通路の先にあるハッチが開いた。そこにいたのは信じられない人物だった。
 『ラセレーナ』からルノアにメールがきた。それは憎らしいほどの自慢話であった。しかし、ルノアはなにか違和感を感じた。なにしろ地球と月は異様なまでの情報規制されていて、地球からメールを送るにはすごい労力が必要だからだ。ルノアはチャーミーに頼んでそのデータを調べてもらうと、なんとそこには「SOS」というメッセージが隠されていた。ルノアはチャーミーにこのことは誰にも言わないように言い、自身は『ヤマグチ』次官に地球に行きたいと告げる。
 しかしヤマグチ次官はそれを即座に拒絶する。あきらめきれないルノアは、強行に地球に行くことを決意する。
 そして、ルノアが地球に行こうとしているのを、口止めされ、怪しげな行動をするチャーミーから聞き出したルノア隊の五人は一緒に行く準備をする。
 同じくチャーミーから聞き出したカデナは一度は部隊に対する責任からついていくのを諦めていたが、カデナ隊の『ナツキ』から叱咤を受けて、ルノアを追うことになる。
 地球ではいったいなにが起きているのであろうか?

 通路の光景を目にした瞬間、ルノアは、菊千角(剣)を持ってきたことを心の底から後悔した。
 自分でもヤバいと思った。
 自制心にも限度があった。
 (中略)
 もう自分の方はどうにもならない。ここから先はあの三人の出方次第だ。お願いだから、おとなしく自分の言うことをきいてほしい。でなければ――でなければ、わたしはもう、なにをするかわからない。これいじょうわたしのきにさわることをしたら、わたしはもう、あんたたちにたいして、どういうしゅるいのほしょうもしてあげられない。


 ――わたしはまた繰り返している。
 ルノアは赤外映像の中、ハニーアントから外され、死んだように床に投げ出されているケーブルを見つめた。冷静に計算している自分への嫌悪。指揮官の宿命。部隊の命を秤にかけて、どちらが軽いか確かめている。
 脱走なんて、やっぱりやめておけばよかったんだ――そう思った。
 ラセレーナのことなんか、放っておけばよかったんだ。
 教官になんか、ならなければよかったんだ。
 救世軍になんか、入らなければよかったんだ。
 こんな無茶苦茶な世の中に、生まれてきたりしなければよかったんだ。


 この巻は手に汗握るシーンが多いですね。カデナが懲罰独房入れられて、ルノアがやって来るシーン(抜粋文の一つ目。本気で怒ったルノアは怖い)。
 月脱出のために乗っていたクレイプ『D+』の暴走してしまい・・・のシーン(クレイプというのは一人乗りです。ガンダムのモビルスーツのようなものかな)。
 そして最後の地球で起こる衝撃シーン(二つ目の抜粋文の後に起こります。読んでいる途中、あることを願いながら読んでいました)。

 秋山さんの小説には”人間とロボットの交流”というテーマが好んで使われています。
 この巻で明らかになったことの一つに、ルノアは機械と意思の疎通ができるというのがあります(GARPは音声が出せるので、みんな会話ができます。でも、ルノアは自動販売機なんかとも会話しているらしい(GRAP談))。
 ルノアは月から脱出するのに『D+』(最新鋭ですごい性能を持っている。自分の意思である程度動ける)に乗るのですが、このD+は乗る者のことを考えれていない殺人的仕様の上に、思考が非常に短絡的なんです。そして、脱出のとき、制御不能になったことからルノアはこの機体に一部機能を封印して、D+の意思で動けなくするようにします。
 そんなD+とルノアの会話がとてもおもしろいです。一番印象的なのは、ルノアが敵を倒した時の会話です(この時点で、一部機能を封印しています)。簡単に書くと、
 「何秒で倒したか?」(ルノア)
 ――二十七秒くらい(D+)
 「あんたなら何秒でやれる?」
 ――六秒
 「あんたとわたしの両方では?」
 ――1秒
 「うそ」
 ――1秒。ぼくが自由になったときにお前が一緒にいたら、ぼくは1秒でお前をやる。

 この小説の帯には「地球に降りても笑ってもらいます(バックにハートマーク)」と書いてあるんですけど、これがネットでえらい不評でしたね(笑)。
 たしかに地球に降りてからは笑えるような場面はあまりないですし。この小説の雰囲気からかなり違います。
 というか一巻も二巻もなんか的外れなことが書いてありましたね。帯なんてのはこんなもんなのかな。

 「秋山瑞人って知ってる?」と聞かれたら、大体の人は「イリヤの空の人でしょ」と言うのかな?
 私的にはここで「うん、E.G.コンバットの人でしょ」と言われたら、「こいつできる!」と思ってしまいます。←なにができるんだよ(笑)
 次の四巻(完結)が99年7月の時点で冬に出るはずだったのですが、今現在も出ていません(一度、去年の6月に出ると電撃HPに載りました・・・結局出なかったけど)。この3巻がすごくいいところで終わっているだけに、早く読みたいです。
 どうでしょう? ここを読んでくれている方も一緒に待ちませんか? 何年も待つ価値がある小説だと思いますよ。

 ※三巻の折りこまれたカラーイラストの裏側「CGルノア」は見なかったことにしてください・・・・・・なんで足が赤いんだ(恐怖)。
 絵はアレですが、それを乗り越えれば至福に時間が訪れるでしょう。


 蛇足っぽいこと
 秋山瑞人さんは、電撃大賞に応募したが期間を過ぎていたために、次の応募にまわるはずだったが編集者がその作品に目を付けて、ノベライズ(E.G.コンバット)でデビューすることになったらしい。
 その応募した作品は、鼠とゴキブリが中華屋で戦うサイバーパンクっぽい話だったらしい・・・おもしろそう、読んでみたいですね。

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「E.G.コンバット2nd」 秋山瑞人(あきやま・みずひと) (A)再読
電撃文庫  イラスト/☆よしみる  98年12月発売
オンライン書店  [bk1] [amazon] 
 あの”ルノア隊”が緊急出撃訓練を成功させた。それはオルドリン震撼させた。それが、一番信じられないのはルノア隊の五人だった。彼女達は夢見心地であった。
 そんなルノア隊を見てある決意を持った人物がいた。『カデナ・メイプルリーフ』。彼女は憧れの『ルノア』教官に、自分達の教官になってもらうようにルノアに直訴をしようとしていたのだ。
 その情報を察知したルノア隊の五人は、ルノアの部屋でルノアとカデナの会話を盗聴することに成功した。そこで聞いた話は、ルノアの本音だった。特殊な訓練の意味、それは生き残るための方法論。そこでカデナに言った「死なないでね」という言葉は、五人にも向けられた言葉であった。
 ルノアの真意を知った五人はそこから気持ちの入れ方が変わった。さらに「相談したいことがあったらいつでもきなさい」と言われたカデナは、人目もはばからず、ルノアに会いに行くようになる。
 操脚兵第二種資格取得試験が近づいていた。試験は実技と座学がある。実技に関しては、ここまで残れた部隊なら問題はなかった。
 問題は座学であった。ルノアと五人組は教本を前に悪戦苦闘していた。五人はルノアにわからないところを質問する。ルノアはその問題自体に違和感を感じながらも答えるが、ルノアの答えは模範解答と違っていた。ルノアが地球に行っていた四年間の間で、オルドリアンは地球との情報規制と実戦の経験者がいないことで、実際の現場を考えていない楽天的なものになってしまっていたのだ。
 ルノアは頭を悩ましていた。今五人必要なのは、実戦での知識ではなく、”オルドリアンの知識”なのだ。そんな時、いつものようにカデナは部屋にやって来た。考え事をしながら、会話をしていたルノアだったが、突然あることに気づいた。目の前のカデナはオルドリアン史上でもトップクラスの優等生…つまりオルドリアンの問題が解けるということ。ルノアはカデナにお願いをすることになる。そうして、同じ部屋で勉強をするということになる……あのルノア隊とカデナ隊が。
 そしてその結果、ルノアが考えもしなかったことになるが――

 ご武運を。あなた方の行く先に、いつも温かな空気(エア)がありますように。あなた方はすばらしいチームでした。一緒にすごせて楽しかった。私は、あなた方のハミングロウルであったことを誇りに思います。(GRAP)

 先にルノア隊の五人+αの説明
 『アマルス・ヒホン』 五人の中で一番まとも。物事を冷たい目で見る。なんだかんだいいながら、部隊の全体をしっかり見ている。姉御っぽい?
 『チャーミー・グリント』 おっとりとした性格。料理なんかも得意(物語中にタルトの作り方がわかります)。あまり知られていないが、電脳戦においてはオルドリアンの中でも屈指の実力者。
 『チュン・マリポ』 やる気は十分。元気少女。背が低い(139cm)ため、フットペダルに足が届かないので、古着のTシャツを詰めていることは秘密にしている。
 『アイ・ブランシュ』 簡単に言えばお子様。無意味な暗記ができる。部隊のマスコット的存在。
 『ペスカトーレ・メッシナ』 変な奴。行動が予想不可能。特攻野郎Aチームで言うとモンキーのようなキャラ(果たして何人の人がわかるのか(笑))。実はかなり切れる人物で、部隊の副官的存在である(アマルス談)。
 『GRAP』 双脚砲台(ハミングロウル)の流体脊髄(人工知能のようなものだと思ってください)。双脚砲台は五人乗って操作します。GRAPはルノアに言わせると「当たり」らしい(流体脊髄として、成長度が他に比べて群を抜いて早い。一巻の時点で怒るという感情を見せている)。この物語で重要な役割を持つ。とにかくカッコいい。この小説を読んでGRAPを嫌いになる人はいないでしょう。
 『カデナ・メイプルリーフ』 第十三期オルドリン訓練校の至宝。天才。そして、とにかくルノアが好き(likeではなくLOVE)。ルノアにお弁当攻撃をしたりします。枕の下にルノアの写真があったりするらしい。

 この巻での見所は、試験でのルノア隊の解答と哨戒任務同行演習の戦闘ですね。
 試験ではルノア隊はどんな解答をしたのか? そしてカデナ隊は・・・・・。どんな問題なのかは書かれていないのですが、試験の五人の解答が乗っています・・・これが笑えます!
 その前の勉強風景とかもしっかり考えられた解答なんですよね。

 そして哨戒任務同行演習の時ついに、”プラネリウム”出てきます。
 哨戒任務同行演習というのは、教官と一緒に訓練生が現場を体験するというもの。オルドリアンより下の階層にはプラネリウムがいるという。それを偵察、監視を行う。
 ルノアにある情報が入ってきた。それはルノアが担当している部隊を今まで偵察を行っていなかった危険な区域に配属するようにクリフト家から圧力がかかってきたということ。
 ルノアは苦渋の決断をします。それは、哨戒演習で自分はカデナ隊の担当になること。彼女達なら実際に奴らが出てきても生き残る確率は高い・・・。
 ルノアはそのこと(カデナ隊につくこと)をアマルス達五人に伝える。五人はショックを隠せなかった。
 そして演習は実施された。カデナ隊の現場責任者、ルノア大尉、第十二階層。ルノア隊の責任者、キスカ中尉、第六階層。そして、奴らは襲いかかってきた・・・一度の襲撃も受けたことがなかったキスカ斥侯隊に。それを知ったルノアは任務を放棄して五人を助けに向かうが――

 ついに戦闘シーンが出るわけですが、緊迫感とスピード感がすごいです。なにしろ相手はこちらの言語も通用しない(捕虜のようなものも当然ない)、負けるというのは即、死ですからね。突然襲われパニックになる様も生々しく伝わってきます。キスカ斥侯隊はどうなるのか? ルノアは間に合うのか? 是非あなたの目で確かめてください。一巻よりもさらにおもしろくなってます。

 最後はキスカ中尉の言葉を
 『心配無用であるぞ! 貴官らはかのルノア・キササギ大尉の教え子であろう! 加えて、我らには使命がある。同行演習にて襲撃を受けしとき、すべてをおいても貴官ら訓練生の命の安全を図ることは、我等古参兵の最優先にして最重要の任務であるのだ! 貴官らを無事に第七階層へ送り届けることは、不肖キスカ・トレツォフ、この背中の「漢」(おんな)の一文字にかけて約束しよう!』
 そして、キスカ中尉はまったく突然に、がははははと笑った。
 『なんだなんだ黙りくさりおって! まるで小生が死ぬとでも思っているようではないか! なーに。小生とて命が惜しいのよ。貴官らを見捨てて逃げたなどと知れば、ルノアめは小生を地の果てまで追いかけて必ずや息の根を止めるであろうからな! 逃げるに逃げられんのだ! アルーシャ! リン! 零距離白兵戦用意! レーザー照準の使用を許可する! 白兵電圧を刀身にチャージ、抜刀せよ!!』
※「漢」は、”おんな”とここでは読みます。

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「E.G.コンバット」 秋山瑞人(あきやま・みずひと) (B+)再読
電撃文庫  イラスト/☆よしみる  98年6月発売 
オンライン書店  [bk1] [amazon] 
 『ルノア・キササゲ』21歳。北米部隊中最年少大尉。生成晶撃破数歴代7位。月より舞い降りしワルキューレ。反応速度の女神。男性ファン多数。女性ファンも多数・・・・・。
 『ラセレーナ・クリフト』22歳。北米部隊中最年少大尉。総督府の首魁、『ベルナルド・クリフト』中将の一人娘。
 二人は月のオルドリン訓練校時代から犬猿の仲であった。奇跡的に今のバランスをとっていたルノアだったが、ついにクリフト家の圧力により月へ左遷されてしまう。辞令はオルドリン訓練校で教官をすること。
 訓練校オルドリアンでは通常、部隊名は専属教官名が冠(かん)される。しかし、部隊名が専属教官名になっていない部隊が二つある。
 「アマルス隊」、試験で普通狙っても取れないような成績を取りつづけていて、教官たちからタライ回しにされている。
 「カデナ隊」、オルドリンの過去にも類を見ないと言われる超エリート部隊。教官も自分より優秀な人間に教えることができないからだ。
 そのオルドリアン訓練校ではルノア・キササギの着任を聞かされ、訓練生達は騒いでいた。
 そのことを伝えた『小夜子・ヤマグチ』次官に、カデナ隊のリーダー『カデナ・メイプルリーフ』は当然自分達を指導してくれるのだろうと自信を持って聞く「ルノア教官の担当部隊はどこでありますか?」と。
 しかし、予想に反し答えは、アマルス隊の専属教官になるという。
 当のルノアはどう訓練生に接していけばいいのか悩んでいた。自分が訓練生時代の教官であったヤマグチ次官のように、冷静に冷酷に指導していこうと思っていたが、顔合わせに行った部隊の部屋では落ちこぼれ5人組がケンカをしていて――

 「いーか!! わたしがたった今から貴様らの教官を務めるルノア・キササゲ大尉だ!! 貴様らつぶぞろいのアホどものケツを地球まで蹴り出すのがわたしの仕事だ!! 血のションベンが出るまでみっちりしごいてやるからな!! オフクロのまたぐらから這い出てきたことを後悔させてやる!! 覚悟しろ!!」
 すごい剣幕に、五人とも声もない。動いたら死ぬとでもいうように、指の先まで直立不動。
 「たった今から二十四時間、教官の権限において第一種休暇を与える。今のうちだ、書きたい奴は遺言書いとけ。金借りてる奴は返しとけ。どこへでも行って好きなだけハメ外してこい。ゲロ吐くまで酒飲んでこい! だがな――、二十四時間たったら、お前らのケツはひとつ残らずわたしんだ!!
 返事!!」
 「Yes、Mam!!」


 この小説は、私が読んできた本の中でも最高におもしろかった本のひとつです。なにしろ、本当におもしろくて、周りの友人に貸しまくりましたから(笑)。
 ちなみに上のセリフは顔合わせに部隊の部屋に行ったルノアがドアを開けたら、まさに五人組のケンカの真っ最中で、そこから飛んできたリモコンが顔に当たって、ついぶちぎれてしまったルノアのセリフです。ルノアは冷静に冷酷にいこうと思ってたんですけどね。

 世界観を説明少し説明します。
 「奴ら」はアフリカ大陸中央部のどこかに突然降下して来た。今は「奴ら」を「プラネリアム」と呼んでいる。今現在、「プラネリウム」についてわかっていることは
 ・女を狙って殺す。
 ・分布が地球に極端に偏っていて、月ではその活動があまり見られない。
 ・生成晶(せいせいしょう)と呼ばれる卵、あるいは繭のようなものから一、ないし複数の個体が発生する。
 このようなことから、人類は女性を月に送る「ジュリエット計画」を実施した。このため地球にはほとんど男。月には女しかいない(だから月では、訓練生も教官もすべて女性です)。奴らに対抗するために残存勢力を集めた組織は「救世軍(サルベージョン・アーミー)」と称した。
 しかし、現状では人類の総人口は5億未満になっている(ようするに滅亡寸前で、絶望的状況だということです)。
 訓練校では、鍛え上げた兵士の一部(優秀な成績のもの)を地球に送り出しているわけです。

 ルノアは訓練校で唯一の実戦経験者です。そのルノアは訓練校のカリキュラムを見て驚きます「こんなことを教えても実戦では意味がない」と。
 そのためルノアは、アマルスたちに特殊なことをやらせます。それは彼女が身を持って覚えた”実戦での生き残る方法”。
 当然、その授業をこなしても訓練校の試験の点数は上がりません。周りからは「やっぱり、ルノア教官でもあいつらを育てるのは無理だった」「兵士として一流でも、教官としては三流だった」等言われます。
 そんな中、”緊急出撃訓練”があり、周りがどんどん脱落していく中、ルノア隊は――という流れで物語は進みます。

 この巻での印象に残っているのは、最後のスカッとするところ(緊急出撃訓練)もいいのですが、ルノアとヤマグチ次官がバーで飲んでいる場面ですね。
 ルノアはどうやって訓練生と接していいのかわからなかったので、自分が訓練生の時の教官だったヤマグチ次官のように振舞っていました。
 この場面でルノアがヤマグチ次官に「ヤマグチ次官のおかげで生きてこられた。私もヤマグチ次官のようにやればあの五人を・・・」と言うと、「やめて・・・・・・ルノア、手柄と一緒に、責任を私におしつけるのはやめて。お願い。」と言うんですが、このセリフにはルノアと同様にショックを受けました。
 自分が受け持った訓練生が死んだら、私の責任にするのかと言ったわけですね。そしてこの後から、ルノアと五人組の関係が徐々に変わっていきます。

 作者の秋山さんは三巻のあとがきに「文章でしか表現できないもの」を書きたいと書いていますが、それは達成されていると思います。この小説をアニメ化しても絶対に小説以上におもしろくすることはできないでしょう。小説だからこそのおもしろさがここにあると思います。

 ただこの小説を買うにあたり一つの壁があります。それは☆よしみる氏のイラスト。
 このバリバリのアニメ調のイラストは手に取った人が、なんとなく棚に戻してしまう、そんな力を持っています……。
 それを乗り越えて読んでみて欲しい、本当におもしろいから(ちなみにオンライン書店bk1にも、古いためかイラストが載っていません)。
 そして、できれば2巻まで読んで欲しいですね。この小説は、1、2巻でセットのような感じなので。

 プレイステーションの「ガンパレード・マーチ」というゲームを知っていますか?
 あのゲームとこの小説は非常に雰囲気が似ています。絶望的状況、身近にある死、その中で必死に生きながら日々を楽しんでいる訓練生(生徒)。そんなことで、「ガンパレード・マーチ」が好きな人にもおすすめですよ(当然、その逆もありですよ)。

 五人組の説明などは二巻へ

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「ラグナロクEX. SANCTUARY」 安井健太郎(やすい・けんたろう) (B)
スニーカー文庫  イラスト/TASA  <3/4>  02年3月発売
オンライン書店  [bk1] [amazon] 
 <魔王(アークエネミー)>と呼ばれる男『リュヴィール』。彼は『リロイ』を連れて、<聖域(サンクチュアリ)>に知人に会いに行った(聖域とはヴァルハラの人体実験の餌食になった者たちが集う隠れ里)。聖域の住民からはすぐに立ち去るように言われるが、そんなことはまったく気にしないリュヴィールは、予定通りに知人(クローディア)に会う。そこに、リュヴィールがやって来るのを待っていたSS級の<虐殺者(ジェノサイダー)>『ライナルト』が襲いかかるが――
 この「SANCTUARY」他三編収録。

 「命の価値はそれぞれ違う。どれが自分にとって大事な命か、見極めることだ」(リュヴィール)

 前作の「ラグナロクEX THE OUTSIDERS」のような本編と変わらないような外伝ではなく、この小説は短編四編による普通の外伝ですね。リロイとジェイスが馬鹿やってるのを久々に読んだ気がします・・・もう本編ではありえないような光景がですね。本編もEXもシリアスな展開だったので、この巻はすごく軽い話のような気がしました。

 この巻あたりでリュヴィールが死んだりするのかなと思っていたのですが、まったく死にそうにありませんね(笑)。クローディアなんて新キャラクターも出てきて、リュヴィールのストーリーもおもしろくなってきました(キャラクターが多すぎて、説明がないと時々わからなくなりますけど・・・)。彼のストーリーも長くなりそうですね。作者としてはラグナロクを長期シリーズにしたいのだろうか?

 トレジャーハンターの『ティーガー・レヴァール』は「ENTRAPMENT」を読んだ限りでは本編に出てきそうですね(まだ出てきてませんよね? いまいち、記憶が・・・)。あの話だと、ヴァルハラに目をつけられてるでしょうし。

 もうここまで付き合った人は、このシリーズ買うしかないですよね。次の巻の本編に期待しましょう。

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「死にぞこないの青」 乙一(おつ・いち) (B+)再読
幻冬舎文庫  <3/3>  01年10月発売
オンライン書店  [bk1] [amazon] 
 普通の人より怖がりな小学五年生『マサオ』。ある日、マサオは勘違いで「自分が飼育係になった」と嘘をついてしまった。そのことから『羽田先生』に嫌われるようになる。
 熱血指導の羽田先生は、最初はクラス運営をうまくやっていたが、徐々に生徒からの反発をまねくようになる(多い宿題、授業の延長等)。そんな中、先生は他の誰かが宿題を忘れてきたり、授業中騒いでいても、全部マサオのせいにするようになっていった。
 クラスメイトまでがそれに同調し、いじめをするようになり、ますます孤立するマサオの前に青い肌をした気味の悪い男の子『アオ』が現れる。
 いつのまにかに自分の待遇になれてしまい、なにも感じなくなっていったマサオだったが、ある出来事がきっかけになり感情を爆発させる。
 そんな僕にアオは「この状況から抜け出さなくてはだめだ……先生を殺せ」そう言い放った。

 僕はこういう係りになっただけなのだ。つまり、バランス係。クラスのバランスをとるために存在する、生贄のような係りだ。

 被害者(マサオ)と加害者(羽田先生)に、なんとなく加害者に加わる人達(クラスメート)という構図が、なんとも言えない妙なリアリティがありますね。いつも一緒に帰っている友達が、だんだん自分との距離を置くようになっていく様子なんかもうまく描かれています。

 物語の重要キャラ『アオ』は、マサオにしか見えません。ちなみにこのアオの描写はすごく気味悪く描かれています(肌が真っ青、片耳と頭髪がなく、右目は塞がっていて、唇には靴紐のように上の唇と下の唇に穴を開けて紐が道されている・・・なぜこんな姿なのかは、マサオの小さい頃の事故に関係があるようです)。
 こういった気味の悪い描写はイラストで見せれれるより、頭の中で想像する方がおもしろいですね(幻冬舎文庫にはイラストはありません)。

 小説の長さもちょうどいい感じでしたね・・・いじめのシーンを長々と描写されてもしかたないですし。
 あと、作者と私の年齢が近いのもあるせいか、マサオ君達がはまっていることを懐かしく感じました(ビックリマンとかにはまっていたり、コロコロコミックを購読していたり・・・ビックリマンのヘッドを持っていたらたしかに自慢できたし、コンビニのゴミ箱にはシールを抜かれたビックリマンチョコが捨てられていましたね。ちなみに私はちゃんと食べていましたよ(笑))。

 角川スニーカー(せつなさ系)の乙一さんしか知らない人も、違った作風のこの小説も読んでみてください。
 そういえば、ザ・スニーカーを読んでいないのでわからないのですが、乙一さん、暗黒系とやらも書いているらしいですね・・・この小説に関しては暗黒というほどではないです(救いはあります)。

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